
photo/©金サジ
本作は、主宰であるソプラノ歌手の太田真紀、ギタリストの山田岳のわずか二人の演奏(play)による、ミニマルなオペラ作品です。
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を題材に、作曲の足立智美が、GPT-2という文章作成AIを駆使し、新たなロミジュリとしてのテキストを創作。その、不条理な独特の詩情を内包したテキストに、音が与えられています。
この音楽は、ジョン・ダウランドを彷彿とさせる16世紀的なリュートの美しい調べから、20世紀的なロック・メタル・電子音楽まで幅広い音楽の世界が縦横無尽に展開されます。
演劇の視点からは、シェイクスピア作品がAIと足立により歴史的文脈を捉えた今日的な構成に仕立てられたことに呼応するべく、サミュエル・ベケットの種々の演劇的手法を引用して、本作で展開される音楽と文学の相似形として造形しています。
短い文章では語り得ぬ試みを、太田と山田の芸術的叡知と超絶技巧によって、余すことなく表現されます。この稀有なオペラ作品をぜひ生でご覧ください。新しくなった高槻城公園芸術文化劇場にて、再演される感謝と共に、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
演出 あごうさとし